犬と猫の超音波診断ケースレポートTIPS FOR SMALL ANIMAL ULTRASONOGRAPHY

2022/10/28

超音波診断ケースレポート「2:副腎腫瘍」

犬の副腎腫瘍の超音波所見

  • 直径が20mm未満で形状が結節状の病変は、しばしば皮質の過形成性結節または腺腫が疑われる。ただし初期の腫瘍では20mm以下であったり、転移性腫瘍はしばしば3mm以下であることもあり、経過観察の必要性が高い。
  • 直径が20mmを超える腫瘤は、褐色細胞腫や腺癌などの悪性腫瘍が疑われる。40mmを超える場合には悪性腫瘍が強く疑われる。
  • 副腎が正常な形状を保っている場合には過形成が疑われる。一般的に境界明瞭な結節性病変は良性病変の可能性が高く、境界不明瞭で辺縁不整な場合には悪性腫瘍が疑われる。
  • 一般的に副腎腫瘍のうち、腺腫や腺癌は血流に乏しいが、褐色細胞腫は血流に富む。
  • 腫瘍塞栓物は、血管内にエコー源性が上昇した境界が明確な塊として観察される。

副腎に腫瘤性病変が認められた場合、過形成、骨髄脂肪腫、腺腫、腺癌、褐色細胞腫、転移性腫瘍などが鑑別にあげられます。副腎腫瘍のエコー源性は様々であり、特異性は報告されていません。

超音波検査は副腎腫瘍浸潤の評価のために多く用いられています。

局所の血管浸潤は、褐色細胞腫では1282%、副腎皮質腫瘍では 11%41% で報告されています。腺腫でも血管浸潤が認められることがありますが、褐色細胞腫や腺癌などの悪性腫瘍の方が血管内浸潤が有意に多いと言われています。

副腎腫瘍の血管内浸潤は後大静脈の他、横隔腹静脈、腎静脈への浸潤も認められます。隣接した筋肉などの周囲組織へ腫瘍浸潤がみられることもあります。また腫瘍内の血流の評価は鑑別診断に有用で、褐色細胞腫では血流が豊富になります。

参考文献

  • Retrospective ultrasonographic evaluation of adrenal lesions in 26 dogs. Vet Radiology & Ultrasound.1997 Nov-Dec;38(6):448-55.

  • Ultrasonographic identification of vascular invasion by adrenal tumors in dogs. Vet Radiology & Ultrasound. 2012 Jul-Aug;53(4):442-5.

  • Ultrasonographic features of adrenal gland lesions in dogs can aid in diagnosis. BMC Vet Res. 2016 Nov 28;12(1):267.

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