⽝と猫の画像診断Q&AWHAT IS YOUR DIAGNOSIS?

2024/02/12

画像診断Q&A「9:左後肢の跛行①」

症例

  • 雑種犬、14歳齢、避妊雌、体重10kg。
  • 1ヶ月前から徐々に進行する左後肢の跛行を主訴に来院した。
  • 股関節X線画像を図1~3に示す。

  

  • 図1:股関節VD
  • 図2:左股関節ラテラル像
  • 図3:右股関節ラテラル像

問題

  • X線画像上の異常所見は何か?
画像診断医(以下:画)
画像診断医(以下:画)

触診では左股関節の疼痛が疑われているみたいですね。どのような異常所見があげられますか?

研

左後肢の筋肉が右と比べると少し萎縮しているようです。1ヶ月前から跛行しているということなので、廃用性筋萎縮が疑われます。ただ、左股関節や他の領域に明らかな異常所見はないように思います。靱帯や腱などの軟部組織の異常でしょうか?

画

たしかに股関節に異常はなさそうですが、重大な所見を見落としていますよ。もう一度、画像全体を見直してみてください。

研修医(以下:研)
研修医(以下:研)

重大な所見ですか・・・。あ、VD像で左大腿骨遠位の透過性が亢進しています。よくみるとラテラル像でも画像の端に骨膜反応みたいなものがみえます。股関節に目が行き過ぎて、すっかり見落としていました・・・。

画

主訴や身体検査所見を意識しながら読影することはとても大切ですが、意識しすぎると逆に見落としや思い込みによる診断エラーに繋がります。常にフラットな気持ちで画像全体を評価することを心がけましょう。それこそが画像診断医の役割ともいえます。では診断を進めましょう。どのような異常所見が挙げられますか?

研

ラテラル像では病変が見切れているので、まずはVD像をみていきたいと思います。左大腿骨の遠位に骨溶解像が認められます。また、この病変の内側に骨膜反応があります。

画

ラテラル像でも同様の病変がみられますね。骨溶解像と骨膜反応にはいくつかの種類があったかと思います。この症例ではどれに分類されますか?

研

骨膜反応は平滑型、骨溶解像の方は・・・虫食い状、でしょうか?

画

骨膜反応についてはVD像では平滑型にみえますが、ラテラル像では層状を示しています。とりあえず、層状骨膜反応ということにしておきましょう。骨溶解像ですが、虫食い状の骨溶解像はもう少し大きい病変を指します。この症例の骨溶解像は、小さくてまるで骨に針で穴を開けたようですよね。このような骨溶解像を浸透状骨溶解像と呼びます。

問題に対する解答

  • X線画像上の異常所見は何か?

左大腿骨骨幹の遠位に浸透状の骨溶解像(黄○)と層状骨膜反応(黄矢印)が認められる。

     

    • 4: VD像の左大腿骨遠位の拡大図
    • 5:ラテラル像の左大腿骨遠位の拡大図
    画

    それでは診断にもどりましょう。骨の病変は胸部や腹部と少し違って、鑑別診断に入る前にすべきことがありましたよね?

    研

    たしか病変を侵襲性か非侵襲性のどちらかに分類するのでしたね。

    画

    その通りです。骨のX線診断では、はじめに骨病変を骨腫瘍や骨髄炎などの侵襲性骨病変と骨嚢胞などの非侵襲性骨病変に分類します。では、この症例の骨膜反応はどちらに分類されると思いますか?

    次回へ続く……

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